ドラム機材を売ると同時に捨てたもの

楽器屋を通った瞬間に思い出してしまった。

「あの場所だ…。」

大好きなドラム機材を売り払った店だったから。
生活に困って売った。夜勤バイトもし始めた頃。
手に入れた額は10000円。
当時の自分には涙が出るほど大金だった。

同時にその行為は多くのものを捨てることを意味した。
大学で始めた軽音、ドラム、ライブ…
それらを一緒に捨ててしまった。

「好きなことをやってる場合じゃない。これも夢のため。」

自分のやりたいことをするため、本当にやりたいことを捨ててた。
無かったことにしてた。
軽音なんて自分には出来なかったんだって。
どうせそんなに上手くないんだし、捨てたほうが良いって。

一緒に選んでくれた店員さんを思い出した。
ごめんなさい。こんなに速く手離して。
同じ楽器屋さんで、こんなことになるなんて。
眺めるのが楽しみだった楽器屋が、自分の黒歴史を刻む場所になるなんて。

そのときから色々なことを諦める癖が出来てた。
ライブもCDも、DVDも、全部諦めた。

バイト頑張るしかない。稼ぐしかない。
稼げない自分が悪い。好きなことをやりたかったら稼げ。

そんな言葉かけばかりしていた。
荒んだ心で生活してた。
バイトの女の子たちが娯楽の話をしていても「自分には無理。」と蓋してた。だから話せなかった。
仲良くすると辛いから距離をとっていたのかもしれない。

でも本当は自信がなかっただけ。
出来る自信がないから諦めてた。
自分には遠い世界の話だって。

でももうやめよう。
今だって、本当には見通しなんか立ってない。
だからって諦めるのはやめよう。

「出来る。」と信じてやらなかったから今、出来てないんだ。
私が自分に対して一番「出来ない。」って決めつけてた。

出来ると信じてやるのは怖い。
出来なかったらどうしよう?と考えるから。
出来ないんじゃないか?って思うから。
でも信じてやらなきゃ出来るものも出来ない。

嫌な思い出と一緒に忘れていた大切なことに気付けた。
有り難う。